はじめに
私は2024年4月、約7年間勤めたSES会社を退職しました。
その後、2024年9月に56歳で独立しています。
退職した時点では、独立そのものに強い不安があったわけではありません。
約1年後には、SES時代と同じ客先へ戻ることを基本路線として考えていました。
また、30年以上雇用保険に加入していたため、失業保険を受給しながら次の仕事を探すことも考えていました。
生活資金についても事前に確認していました。
そのため、
「仕事がなくなって生活できなくなるのではないか」
という不安は、それほど大きくありませんでした。
ところが、実際に案件を探し始めると思ったようには進みません。
期待していた案件に落ち、その後も不採用が続きました。
そこで初めて、
「今までの客先では評価されていたけれど、外でも自分の経験は通用するのだろうか」
と考えるようになりました。
この記事では、退職から独立、最初の案件獲得までの実体験をもとに、50代で独立する前に準備しておきたいことを5つに整理します。
1.仕事が決まらない期間の生活費を確認する
独立を考えたとき、最初に確認したのはお金でした。
会社員であれば、基本的には毎月給与が入ります。
しかし、会社を辞めればそうはいきません。
私は30年以上雇用保険に加入していたため、退職後は失業保険を受給しながら次の仕事を探しました。
同時に、
- 毎月どのくらい生活費が必要か
- 仕事が決まらなくても何か月生活できるか
- 失業保険をどの程度受給できるか
- 手元資金をどの程度残しておくか
を確認していました。
私の場合、生活資金は事前に計算していたため、案件がすぐに決まらなくても金銭面で大きく焦ることはありませんでした。
これは後から考えると大きかったです。
実際に案件が決まらない時期が来たときも、
「今月中に何としても仕事を決めなければ生活できない」
という状態ではありませんでした。
50代で独立を考えるなら、
「案件が取れるか」だけではなく、「取れなかった状態が何か月続いても大丈夫か」
まで確認しておいた方がよいと思います。
独立前に確認した生活費、税金、社会保険については、50代ITエンジニアが独立前に準備したお金の話|生活費・税金・社会保険で詳しく整理しています。
2.仕事の見込みを「確定した仕事」と考えない
SES会社を退職した時点で、私は約1年後にはそれまで働いていた客先へ戻ることを基本路線として考えていました。
SES時代に同じ客先で長く働き、仕事を評価してもらえていたからです。
ただし、退職してすぐに元客先へ戻ろうとは考えませんでした。
元のSES会社との関係もあるため、一定期間は空けた方がよいと考えていました。
そのため、約1年間は別の案件で働くことを考えていました。
ただし、その間の仕事が自分に合い、継続できるのであれば、そのまま続けることも選択肢として考えていました。
つまり、元客先への復帰を基本路線にはしていましたが、それだけに決めていたわけではありません。
仕事につながりそうな人脈や客先があることは、独立を考えるうえで大きな安心材料になります。
しかし、
「仕事の見込みがあること」と「仕事が決まっていること」は違います。
これは実際に退職してから強く感じました。
独立する前に確認したこと全体については、50代ITエンジニアが独立前に確認したこと|勢いで辞めないための準備でも整理しています。
3.自分の市場価値を会社の外でも確認しておく
退職後の2024年6月頃、以前仕事で関わった方から、その方が勤務するSES会社の案件紹介部門につないでもらいました。
その方は私の仕事ぶりを知っていました。
案件紹介部門の方と面談した際には、
「案件はほぼ見つかります」
という話もありました。
私もかなり期待していました。
その後、1件の案件を紹介してもらいました。
しかし、面談の結果は不採用でした。
その会社からの紹介はその1件だけで、その後の追加紹介はありませんでした。
さらに、他のエージェントから紹介された案件を含め、案件面談で不採用が続きました。
5社程度、不採用になった時期があります。
この頃が、退職後では精神的に一番きつかった時期です。
それまで私は、客先ではある程度評価してもらえていると思っていました。
ところが、外で案件を探してみると仕事が決まりません。
そこで、
「今までの客先では評価されていたけれど、他の場所では自分の能力はそれほど通用しないのではないか」
「自分の市場価値は、思っていたほど高くないのではないか」
と考えるようになりました。
不採用になった理由は分かりません。
年齢なのか。
スキルなのか。
単価なのか。
案件との相性なのか。
確認していない以上、理由を決めつけることはできません。
ただ、
今いる場所で評価されていることと、新しい市場ですぐに仕事が決まることは別
だということは実感しました。
私の場合、金銭面よりもこの心理的な負担の方が大きかったです。
今振り返ると、独立を考えている段階で、会社の外では自分の経験がどう評価されるのかを確認しておくことにも意味があると思います。
フリーランスの案件面談で見られるポイントについては、50代ITフリーランスの案件面談で見られること|転職面接との違いで詳しく書いています。
4.案件を探すルートを複数持っておく
案件がなかなか決まらない中でも、エージェントなどを通じて案件探しは続けました。
そして2024年8月頃、コンサルティング会社のPMO案件への採用が決まりました。
私は2024年9月に独立しました。
実際にPMO案件で働き始めたのは2024年10月です。
この案件は、最初から半年間働くことが決まっていたわけではありません。
最初は1か月。
その後3か月。
さらに延長され、結果として2025年3月まで約半年働きました。
仕事はかなり厳しかったです。
それでも、今振り返ると、
「半年間やり切った」
という感覚があります。
案件探しをしていた時期には、不採用が続いて自信をなくしかけました。
それでも探し続けた結果、仕事につながりました。
もちろん、
「何件受ければ必ず決まる」
という話ではありません。
案件ごとに求められる経験や役割は違います。
一つの紹介先や一つのエージェントだけに頼るのではなく、複数のルートを持っておくことは、独立するうえで大切だと感じました。
5.案件が終わった後の選択肢も持っておく
PMO案件は2025年3月に終了しました。
終了理由として説明されたのは、別の案件が空いた方を入れるためというものでした。
もちろん、
「本当に自分が不可欠な存在なら、そのまま継続していたのではないか」
という見方もできます。
継続して必要とされるほどの貢献ができなかった面もあったのかもしれません。
一方で、仕事そのものはかなり厳しく、仮に延長の話があったとしても、私は断っていた可能性があります。
フリーランスでは、自分が希望していても案件が終了することがあります。
逆に、自分の方から継続しない判断をすることもあります。
そのため、
今の案件がずっと続くことを前提にしない
ことも必要だと思います。
PMO案件終了後、2025年5月からSES時代と同じ元客先で仕事をすることになりました。
SES会社を退職してから約1年後です。
結果として、退職時に基本路線として考えていた元客先で仕事をすることになりました。
ただし、それまでに働いた別の案件が自分に合い、継続できるのであれば、そちらを続けることも考えていました。
独立前に必要なのは、
予定を一つに決めておくことではなく、状況が変わったときに次の選択肢を持てるようにしておくこと
だと思います。
案件終了後に次の仕事へつなげる考え方については、50代ITフリーランスが案件終了に備えてやること|次の仕事につながる信頼の作り方でも整理しています。
まとめ|準備しても予定通りには進まない
私は独立前に、生活資金や仕事の見込みについてある程度準備していました。
それでも、実際に外で案件を探してみると、想定通りには進みませんでした。
この経験から感じたのは、
独立前の準備は、すべてを予定通りに進めるためのものではない
ということです。
むしろ、
- 仕事が決まらない
- 期待していた案件に落ちる
- 今の案件が終了する
といった予定外のことが起きたときに、次の行動を選べるようにしておく。
そのための準備だと思います。
独立すれば必ず良くなるわけではありません。
会社員を続ける選択もあります。
転職する選択もあります。
自分なら、
仕事が決まらない期間をどこまで受け入れられるか。
一つの仕事がなくなったときに、次の選択肢を持てるか。
独立を決める前に、一度考えてみてください。
「自分は独立を検討できる状態なのか」を判断したい方は、50代ITエンジニアは独立すべきか|向いている人・向いていない人の判断基準も参考にしてください。
🧭 次回予告
40代で300万損した私が50代で投資をやり直せた理由|「当てる」から「育てる」への転換
40代では短期売買などで約300万円の損失を経験しました。
その後いったん投資から離れ、50代で投資を再開しています。
次回は、なぜ投資を再開し、「当てる投資」から長期で資産を育てる考え方へ変わったのかを書いています。


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