はじめに
50代で独立を考えるとき、一番避けたいのは勢いで会社を辞めることです。
会社が嫌になった。
上司と合わない。
今の働き方に不満がある。
60歳以降の条件が不安。
こうした気持ちは、独立を考えるきっかけにはなります。
ただし、それだけで独立すると危険です。
私自身も、56歳で独立しました。
しかし、いきなり会社を辞めたわけではありません。
会社の中で解決できないか。
独立後の仕事につながる人脈はあるか。
常駐先との信頼関係はあるか。
元のSES会社との関係に無理はないか。
収入と生活費に無理はないか。
家族はどう考えるか。
案件が切れたときにどうするか。
こうしたことを確認しながら判断しました。
特に大きかったのは、常駐先からの信頼が厚かったことです。
ただし、独立してすぐに、その常駐先で働いたわけではありません。
元のSES会社との関係もあります。
そのため、独立後しばらくは、元の常駐先では働かない方がよいと考えました。
結果として、1年間は時間を空けました。
現在は、その常駐先から案件をいただいています。
また、家族には一方的に説明したのではなく、相談しました。
もし家族が反対していたら、私は会社を辞めていなかったと思います。
この記事では、50代ITエンジニアが独立前に確認しておきたいことを、私の実体験をもとに整理します。
独立をすすめる記事ではありません。
会社員を続ける選択もあります。
転職を選ぶ方法もあります。
今の会社で働き方を調整する方法もあります。
大切なのは、勢いではなく、自分の状況を確認してから判断することです。
独立前に確認したことは大きく6つある
私が独立前に確認したことは、大きく分けると次の6つです。
- 今の会社で解決できないか
- 独立後の仕事につながる人脈があるか
- 常駐先からの信頼があるか
- 元のSES会社との関係に配慮できるか
- 収入と生活費に無理がないか
- 家族に相談して納得してもらえるか
さらに、案件が切れたときにどうするかも考えておく必要がありました。
50代の独立では、若い頃のように勢いだけでは動きにくいです。
住宅ローン。
家族の生活費。
教育費。
老後資金。
健康面。
親の介護。
人によって事情は違いますが、背負っているものは少なくありません。
だからこそ、独立前の確認が大切になります。
今の会社で解決できないかを確認した
まず確認したのは、今の会社で解決できないかということです。
私の場合、SES会社で働いていました。
SESを続けるかどうかの判断については、50代ITエンジニアがSESを続けるか判断するポイント|独立を考えるタイミングでも整理しています。
管理職を経験しましたが、自分には合いませんでした。
その後、現場に戻してもらいました。
現場の仕事自体は、自分に合っていました。
要件を整理する。
設計を考える。
関係者と調整する。
開発や運用を前に進める。
こうした仕事には、これまでの経験を活かせていました。
ただ、60歳以降の働き方には不安がありました。
当時の会社では、60歳で定年。
再雇用は65歳まで。
60歳以降は給与が3割カット。
この条件は、自分にとって大きな問題でした。
そこで、会社に相談しました。
定年なしにできないか。
60歳以降の給与カットをなくせないか。
そういった話をしました。
しかし、会社としては対応できないという回答でした。
この確認は重要だったと思います。
会社に相談せずに辞めていたら、後で迷いが残ったかもしれません。
「もしかしたら、会社の中で解決できたのではないか」
そう考えてしまう可能性があります。
独立を考える前に、まず今の会社で解決できないかを確認する。
これは、50代で独立を考える場合に大事な手順だと思います。
独立後の仕事につながる人脈を確認した
独立で一番大事なのは、仕事につながる先があるかどうかです。
どれだけ経験があっても、案件がなければ収入はありません。
私の場合、独立前に相談できる人がいました。
その方は、社内IT時代に外注先として関わっていた方です。
その後、SES会社の取締役になっていました。
相談したところ、仕事は紹介できると言ってもらえました。
これは大きな安心材料でした。
もちろん、紹介してもらえる可能性があることと、案件が確定していることは違います。
独立すれば、契約条件も変わります。
単価も変わります。
案件のタイミングもあります。
自分の年齢や経験との相性もあります。
それでも、独立後に相談できる人がいることは、大きな支えになりました。
50代の独立では、求人サイトや案件サイトに登録すれば何とかなる、とは考えない方がよいと思います。
過去に一緒に仕事をした人。
自分の仕事ぶりを知っている人。
信頼関係がある人。
困ったときに相談できる人。
こうした人脈があるかどうかは、独立前に確認しておきたい点です。
常駐先からの信頼が大きな判断材料になった
50代で独立する場合、スキルだけでは不十分だと思います。
もちろん、技術力や経験は必要です。
ただ、それ以上に大事なのは、
「あの人なら任せられる」
と思ってもらえているかどうかです。
私の場合、常駐先での評価は良かったと思います。
客先の上位者とも直接会話できていました。
仕事の進め方も、自分で調整できていました。
契約や体制に関わる立場の方とも接点がありました。
こうした信頼関係は、独立を考えるうえで大きな判断材料になりました。
独立を考えた背景については、前回の50代ITエンジニアが独立を考えたきっかけ|会社員を続けるか迷った実体験でも書いています。
ただし、信頼があるからといって、すぐにその常駐先で働いたわけではありません。
ここは大事な点です。
私は、独立後すぐに元の常駐先で働くのは避けました。
元のSES会社との関係もあります。
いきなり同じ常駐先で個人として仕事を受けると、関係者に余計な違和感を与える可能性があります。
そのため、関係者に余計な誤解を与えないよう、1年間は時間を空けた方がよいと考えました。
結果として、現在はその常駐先から案件をいただいています。
この経験から感じたのは、独立では案件の有無だけでなく、関係者との距離感も大切だということです。
信頼関係があっても、すぐに動けばよいとは限りません。
元の会社。
常駐先。
紹介してくれる人。
自分の立場。
それぞれの関係を壊さないように考える必要があります。
関係者への配慮も独立前に考えた
独立すると、自分の立場が変わります。
会社員として常駐していた立場から、個人事業主として仕事を受ける立場になります。
同じ現場で働くとしても、見え方は変わります。
元の会社から見ると、退職後すぐに同じ常駐先で働くことに複雑な感情が出るかもしれません。
常駐先から見ても、契約の流れや関係性に注意が必要です。
紹介してくれる人にも、余計な負担をかけないようにする必要があります。
私の場合、常駐先からの信頼はありました。
しかし、だからといってすぐに戻るのではなく、1年間空けました。
これは、自分なりに関係者への配慮を考えた結果です。
独立は、自分の自由だけで動けるように見えます。
しかし、実際には人との関係の上で成り立っています。
これまでお世話になった会社。
今後も関わる可能性がある常駐先。
仕事を紹介してくれる人。
家族。
こうした人たちとの関係を壊さないことも、独立前に考えるべきことだと思います。
自分で仕事を進められるかを確認した
独立すると、会社が細かく支えてくれるわけではありません。
もちろん、案件によってはチームで働きます。
顧客や元請け会社のルールもあります。
ただ、会社員のように、社内で相談すれば何とかなる場面は減ります。
自分で確認する。
自分で判断する。
自分で調整する。
自分で責任を持つ。
この意識が必要になります。
私の場合、SES会社に所属していたときから、実務面ではかなり自分で進めていました。
客先との会話も自分で行う。
要件を整理する。
設計内容を確認する。
開発側と調整する。
課題を整理する。
こうした仕事を、会社のサポートをあまり受けずに行っていました。
そのため、
「ここまで自分で進められるなら、独立しても大きくは変わらないのではないか」
と考えるようになりました。
ただし、これは人によります。
会社の営業力にかなり支えられている。
上司やリーダーに判断を任せている。
顧客と直接話す機会が少ない。
契約や単価の話をしたことがない。
こういう場合は、独立前に慎重に考えた方がよいです。
独立後は、技術だけでなく、調整力や説明力も必要になります。
収入と生活費に無理がないかを確認した
独立前には、収入と生活費も確認しました。
会社員であれば、毎月給与が入ります。
有給休暇もあります。
社会保険もあります。
会社が事務処理をしてくれます。
営業をしなくても、基本的には仕事があります。
独立すると、そこが変わります。
案件が続けば収入は増える可能性があります。
一方で、案件が切れれば収入は止まります。
病気やケガで働けなくなるリスクもあります。
契約が更新されない可能性もあります。
税金や社会保険の支払いも考える必要があります。
私の場合、仕事につながる人脈はありました。
常駐先からの信頼もありました。
それでも、収入が増える可能性だけを見て判断したわけではありません。
最低限、生活に無理がないか。
案件が切れたときにすぐ困らないか。
家族に相談できる内容になっているか。
税金や保険の支払いを理解しているか。
こうした点は確認しました。
50代で独立する場合、単価だけを見て判断しない方がよいです。
月額の売上が高く見えても、そこから税金、社会保険、経費、休みの期間を考える必要があります。
会社員時代の年収と、フリーランスの売上は単純には比較できません。
フリーランスの収入面については、50代ITフリーランスの収入は現実いくら?独立1年目の売上・経費の実例を公開でも詳しく書いています。
ここを勘違いすると危険です。
家族には説明ではなく相談をした
独立は、自分だけの問題ではありません。
家族がいる場合は、家族への相談が必要です。
私は、独立前に家族へ一方的に説明したのではありません。
相談しました。
なぜ独立を考えているのか。
今の会社で続ける場合、60歳以降にどうなるのか。
独立後の仕事につながる先はあるのか。
収入はどう見込んでいるのか。
リスクは何か。
こうしたことを話しました。
そして、もし家族が反対していたら、私は会社を辞めていなかったと思います。
それくらい、家族の意見は大事だと考えていました。
独立は、自分の働き方を変えるだけではありません。
収入の入り方も変わります。
社会保険や税金の考え方も変わります。
案件が切れるリスクもあります。
自分では納得していても、家族が不安を感じることはあります。
だからこそ、独立前には家族に一方的に説明するのではなく、相談することが大切だと思います。
家族が納得していない状態で独立すると、仕事がうまくいかない時に、家庭内の不安も大きくなります。
50代で独立するなら、家族に相談できる状態かどうかも、重要な確認項目です。
案件が切れたときの備えも考えておく
独立を考えるときは、うまくいく前提だけで考えない方がよいです。
私の場合、常駐先からの信頼はありました。
仕事を紹介してくれる人脈もありました。
現在は、その常駐先から案件をいただいています。
ただし、案件が永遠に続くとは限りません。
契約が終わる可能性はあります。
体調を崩す可能性もあります。
顧客側の事情で案件が変わることもあります。
元請けや契約条件が変わることもあります。
私は、元の会社に戻ることは考えていませんでした。
ただ、元の会社に戻る前提ではなくても、案件が切れたときにどうするかは考えておく必要があります。
別の案件を紹介してもらえる人脈はあるか。
これまでの経験を別の現場でも評価してもらえるか。
生活費にどれくらい余裕があるか。
家族と相談できているか。
こうした備えは必要だと思います。
独立は、元の会社に戻る前提で考えるというより、案件が変わっても働き続けられる準備をしておくことが大切です。
案件が切れたときの不安がゼロになることはありません。
だからこそ、独立前にリスクを確認しておく必要があります。
独立前にチェックしたい項目
50代ITエンジニアが独立を考えるなら、少なくとも次の項目は確認した方がよいです。
- 今の会社で解決できないか
- 定年後や再雇用の条件を確認したか
- 独立後の仕事につながる人脈はあるか
- 常駐先や顧客から信頼されているか
- 元の会社や常駐先との関係に配慮できているか
- 自分で顧客と会話できるか
- 要件整理や調整を自分で進められるか
- 収入と生活費の見通しがあるか
- 税金や社会保険の負担を理解しているか
- 家族に相談できているか
- 家族が反対した場合に立ち止まれるか
- 案件が切れたときの対応を考えているか
- 別案件につながる人脈があるか
- 生活費に一定の余裕があるか
すべて完璧に準備できる人は少ないと思います。
私も、すべてが万全だったわけではありません。
ただ、何も確認せずに独立するのと、リスクを理解したうえで独立するのでは、大きく違います。
不安をゼロにすることはできません。
でも、不安の中身を整理することはできます。
独立は勢いではなく、確認してから判断する
独立は、勢いだけで決めるものではありません。
特に50代の場合は、若い頃よりも慎重に考える必要があります。
ただし、慎重になることと、何もしないことは違います。
会社に相談する。
人に相談する。
仕事につながる人脈を確認する。
常駐先との信頼関係を確認する。
元の会社との関係に配慮する。
自分の経験を棚卸しする。
収入と生活費を確認する。
家族に相談する。
案件が切れたときの備えを考える。
こうしたことを一つずつ確認することで、判断しやすくなります。
私の場合も、独立は最初から決めていたわけではありません。
管理職が合わなかった。
60歳以降の条件に不安があった。
会社に相談しても制度は変えられなかった。
SES会社のサポートをあまり受けずに仕事を進めていた。
仕事を紹介してくれる人がいた。
常駐先からの信頼が厚かった。
ただし、元のSES会社との関係を考えて、すぐには元の常駐先で働かなかった。
家族にも相談できた。
こうした条件が重なって、独立が現実的な選択肢になりました。
まとめ
50代ITエンジニアが独立を考えるときは、勢いだけで辞めない方がよいです。
会社への不満。
上司との相性。
60歳以降の給与不安。
今後の働き方への迷い。
こうしたものは、独立を考えるきっかけにはなります。
ただし、それだけでは準備不足です。
私が独立前に確認したのは、次のようなことでした。
- 今の会社で解決できないか
- 独立後の仕事につながる人脈があるか
- 常駐先から信頼されているか
- 元の会社との関係に配慮できるか
- 自分で仕事を進められるか
- 収入と生活費に無理がないか
- 家族に相談できているか
- 案件が切れたときの備えがあるか
私の場合は、常駐先からの信頼が厚かったです。
ただし、独立後すぐにその常駐先で働いたわけではありません。
元のSES会社との関係を考え、1年間は時間を空けました。
現在は、その常駐先から案件をいただいています。
また、家族には説明ではなく相談をしました。
家族が反対していたら、会社を辞めていなかったと思います。
一方で、元の会社に戻ることは考えていませんでした。
だからこそ、元の会社に戻る前提ではなく、案件が切れたときにどう動くかを考える必要がありました。
独立は、会社員より自由な面があります。
一方で、収入が不安定になるリスクもあります。
案件が切れる可能性もあります。
自分で判断しなければならない場面も増えます。
だからこそ、独立前に確認することが大切です。
会社員を続けるのか。
転職するのか。
独立するのか。
どれが正解かは、人によって違います。
大切なのは、今の不満だけで動くのではなく、自分の状況を整理して判断することです。
読者の方も、自分なら何を確認してから動くか、一度考えてみてください。
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🧭 次回予告
次回は、
50代ITエンジニアがフリーランスになる前に不安だったこと|収入・案件・年齢の現実
について書く予定です。
独立前に感じた収入、案件、年齢、家族への不安について、実体験をもとに整理します。

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