はじめに:独立1年目は、想定外の連続だった
56歳でITフリーランスとして独立しました。
振り返ってみると、独立1年目は「計画通りに進んだ1年」ではありませんでした。
むしろ、
- 期待していた案件が決まらない
- 案件面談で不採用が続く
- 自分の市場価値に不安を感じる
- ようやく決まった仕事も楽ではない
という、想定外の連続でした。
そもそも私は、何年も前から綿密な独立計画を立てていたわけではありません。
離職する半年ほど前、当時携わっていたプロジェクトの責任者との相性が悪く、仕事をあまり楽しいと思えない時期がありました。
そのとき、以前仕事で関わった方に相談したことが、独立を具体的に考えるきっかけになりました。
今回は、独立するための準備方法ではなく、実際に独立1年目に何が起き、その中で私の考え方がどう変わったのかを書いてみます。
独立前に準備しておいた方がよいことについては、50代ITエンジニアが独立前に準備すべき5つのステップで詳しくまとめています。
独立の話は、以前仕事で関わった方への相談から始まった
相談したのは、私が以前PLとして関わっていた案件で、協力会社側を取りまとめていた方です。
その方は、その後SES会社の取締役になっていました。
相談したところ、その会社の案件紹介部門につないでもらうことができました。
そこで面談をした際、
「ほぼ案件紹介は可能」
という趣旨の説明を受けました。
私はこれをかなり期待して受け止めました。
そのため、退職する時点では、他のフリーランス向けエージェントには登録していませんでした。
このルートで仕事につながる可能性が高いと考えていたからです。
独立を考えた詳しい経緯については、50代ITエンジニアが独立を考えたきっかけ|会社員を続けるか迷った実体験でも書いています。
最初の案件が不採用になり、想定が崩れた
SES会社を退職したあと、案件紹介部門から具体的な案件を1件紹介してもらいました。
私はかなり期待していました。
しかし、結果は不採用でした。
さらに、その会社から次の案件が紹介されることもありませんでした。
ここで、離職前に考えていた流れが崩れました。
そこで慌てて、別のフリーランス向けエージェントに登録しました。
そこから複数の案件を紹介してもらいましたが、不採用が続きました。
なぜ不採用になったのかは分かりません。
年齢なのか、経験なのか、案件との相性なのか。
理由は確認できていないので、今でも分かりません。
ただ、不採用という結果だけは続きました。
それまで客先ではそれなりに評価されていたので、ここまで案件が決まらないことは想定していませんでした。
一番きつかったのは「自分が思っているほど評価されないのでは」という不安
私は、それまでにも何度か転職しています。
社内SEからSESへの転職も経験しました。
そのため、自分の市場価値については以前から気にしていました。
独立を考える以上、
「自分の経験は会社の外でも通用するのか」
ということも当然考えていました。
それでも不採用が続くと、感じ方が変わってきます。
「自分が思っている以上に市場価値がないのではないか」
「これまでの客先では評価されていたが、外ではそれほど通用しないのではないか」
そんな不安が出てきました。
独立1年目を振り返ると、精神的にはこの時期が一番きつかったと思います。
仕事が決まらないことも不安でした。
ただ、それ以上に、
30年以上続けてきたITの仕事で、自分がどこまで通用するのか分からなくなったこと
の方が大きかったです。
これまで仕事を続けてこられたことと、新しい案件で採用されることは別なのだと感じました。
ようやくPMO案件が決まり、56歳で独立した
不採用が続いたあと、ようやくPMO案件が決まりました。
PMOとは、プロジェクトの進行や管理を支援する仕事です。
この案件が決まり、私は56歳で正式に独立しました。
この仕事について最初に聞いていたのは、業務に支障がなければ、半年程度を一区切りとして契約を見直すという趣旨の話でした。
実際には契約は段階的に見直され、結果として約半年働きました。
初めてのフリーランス案件でしたが、仕事はかなり厳しいものでした。
会社員からフリーランスになったからといって、仕事そのものが楽になるわけではありません。
むしろ、
「この仕事で、自分は何を期待されているのか」
を強く意識するようになりました。
独立後に会社員時代と何が変わったのかについては、50代ITフリーランス1年目の働き方|会社員時代と変わったことで詳しく整理しています。
半年ほど働いたときには、
「とりあえず半年間はやり切った」
という感覚がありました。
初めてのフリーランス案件としては、かなり大きな経験になったと思います。
基本路線だった元客先へ戻った
SES会社を退職した時点から、私には一つの基本路線がありました。
約1年後には、SES時代に働いていた元客先へ戻る。
というものです。
ただし、絶対に戻ると決めていたわけではありません。
その約1年間に別の仕事を経験し、その仕事が自分に合っていて継続できるのであれば、続ける選択肢もありました。
結果としてPMO案件を約半年経験し、その後、元客先へ戻りました。
現在もそこで仕事をしています。
一度外に出て別の案件を経験したことで、以前働いていたときとは少し違う見方もできるようになりました。
そして、
これまで築いてきた人とのつながりや信頼も、自分のキャリアの一部なのだ
と改めて感じました。
独立というと、
「会社を辞めて、一人で新しい世界へ出ていく」
というイメージを持つかもしれません。
私の場合はそうではありませんでした。
新しい仕事を経験しながら、それまでのキャリアで築いたつながりも使って働き方を作っていきました。
「市場価値」だけでは案件を選べないと感じた
独立前から、自分の市場価値は気にしていました。
独立してからも、それは変わりません。
ただ、独立1年目を経験して、案件を見る基準は少し変わりました。
以前より強く考えるようになったのは、
「その案件で、自分は本当に貢献できるのか」
ということです。
案件には、それぞれ求められるものがあります。
経験年数が長ければ、どんな案件でも評価されるわけではありません。
私の場合、最新技術を最大の武器にしているわけではありません。
一方で、これまでの仕事では、
- ユーザーの要望を整理する
- 要件をまとめる
- システムの仕様を考える
- 関係者と調整する
- 設計内容を確認する
- ベンダーとやり取りする
といった仕事を長く経験してきました。
そうした経験が求められる案件であれば、自分が貢献できる可能性があります。
逆に、自分の経験と求められている役割が合わなければ、いくら条件が良くても難しいと思います。
不採用が続いた時期には、
「自分の市場価値はどのくらいなのか」
ということばかり考えていました。
しかし独立1年目を経験して、
「自分の価値はいくらなのか」だけではなく、「どこなら自分の経験を使えるのか」を考える方が大切なのではないか
と思うようになりました。
これは、独立して実際に案件を探し、働いてみて初めて強く感じたことです。
現在、私がどのような基準で案件を見ているのかは、50代ITフリーランスが案件を選ぶ基準|単価だけで決めない考え方で詳しく書いています。
想定外が起きるたびに、次を考えた1年だった
最初の案件が決まらなかった。
別のエージェントに登録した。
不採用が続いた。
ようやくPMO案件に入った。
約半年、その仕事を続けた。
その後、元客先へ戻った。
こうして並べてみると、最初から決めた計画をそのまま実行した1年ではありません。
想定外が起きるたびに、
「では、次にどうするか」
を考えてきました。
独立前に計画を立てることは大切だと思います。
ただ、実際に動き始めると、すべてが予定通りに進むとは限りません。
私の独立1年目もそうでした。
今振り返ると、最初の計画が正しかったかどうかより、
予定が変わったときに、その時点で次の選択肢を考えられたこと
の方が重要だったように思います。
まとめ:成功した1年ではなく、選び直し続けた1年だった
独立1年目を振り返っても、
「独立して大成功した」
という感覚はありません。
期待していた案件は決まりませんでした。
案件面談では不採用が続きました。
自分が思っているほど市場で評価されないのではないか、と不安になった時期もありました。
初めて入ったPMO案件も、決して楽な仕事ではありませんでした。
それでも、その都度次の選択肢を考え、現在の働き方につながっています。
そして1年目を経験したことで、
「市場価値が高いか低いか」だけではなく、「自分が貢献できる場所はどこなのか」を考える
という視点が以前より強くなりました。
50代で独立することが、誰にとっても正解だとは思いません。
会社員を続ける方が合う人もいます。
転職した方がよい人もいます。
独立した方が働きやすい人もいます。
私の場合も、最初から現在の形をすべて描けていたわけではありません。
想定が崩れるたびに、働き方を選び直してきました。
もし自分ならどうするか。
独立するかどうかだけではなく、
「予定通りにいかなかったとき、自分にはどんな選択肢があるだろうか」
というところまで考えてみると、自分に合った働き方が少し見えやすくなるのではないでしょうか。
🧭 次回予告
50代から始める株式長期投資の実践法|インフレ・デフレに合わせた守りの資産運用
次回は、キャリアの話から少し離れて、50代からの資産運用について書きます。
私自身の投資経験をもとに、短期的に利益を狙うのではなく、50代から長く続けるためにどのような考え方で投資しているのかを紹介します。


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