社内SE・SES・独立──25年経験から見る“50代の最適キャリア”

はじめに

50代になると、

「このまま会社員を続けるのか」

「転職するのか」

「独立するのか」

働き方について考える機会が増えてきます。

私はこれまで、

  • 社内SE:約25年
  • SES:約7年
  • 独立・フリーランス

という3つの働き方を経験してきました。

実際に経験して感じるのは、

どの働き方が一番いいかではなく、自分がこれからどう働きたいかで選択肢は変わる

ということです。

特に50代になると、

  • 現場で仕事を続けたいのか
  • 人を管理する側へ進みたいのか
  • 会社の給与・定年制度をどう考えるのか
  • 収入の安定をどこまで重視するのか

といったことも無視できません。

この記事では、社内SE・SES・独立を経験した立場から、それぞれの違いと、50代で働き方を考えるときのポイントを整理します。


1.社内SE:約25年|仕事内容は時代とともに変わった

私のITキャリアは社内SEから始まりました。

若い頃は、自分でプログラムを書くこともありました。

当時は今よりも、自社のシステムを社内で作ることが珍しくありませんでした。

私自身も経理システムや営業系システムなどに関わり、PGも経験しています。

その後、システムは大規模化していきました。

企業がすべてを自社で作るのではなく、専門のシステム会社へ外注する形が一般的になっていきます。

それに伴って、私の社内SEとしての仕事も変わりました。

後年は、

  • システム開発方針を決める
  • ユーザーの要望を取りまとめる
  • システム化する範囲を整理する
  • 協力会社へ開発を依頼する
  • 協力会社の進捗や品質を確認する
  • 導入後の運用・保守を行う

といった仕事が中心になりました。

若い頃の、

「自分で作る」

仕事から、

「何を作るかを決め、ユーザーと協力会社の間に入ってシステムを作る」

仕事へ比重が移っていったということです。

これは自分の経験が増えたことだけでなく、企業のシステム開発の進め方そのものが変わってきた影響も大きかったと思います。

社内SEとしてプロジェクトを進める中で感じたことは、社内SE歴25年の私が学んだプロジェクト運営のコツでも詳しく書いています。


2.社内SEでポジションが上がると、現場の仕事が減ることもある

社内SEを長く続けていると、経験とともに役割が変わることがあります。

担当者からリーダー、さらに管理職へ進めば、

  • メンバーの管理
  • 人事評価
  • 予算管理
  • 部門の計画作成
  • 他部署との調整
  • 会議や報告

などの仕事が増えていきます。

こうした仕事をやりたい人には、自然なキャリアだと思います。

一方で、

システムの現場で仕事を続けたい人にとっては、必ずしも希望する方向とは限りません。

ポジションが上がるほど、システムそのものを考える時間より、人や予算を管理する時間が増える可能性があります。

私自身は、人を管理する仕事よりも、現場でシステムに関わる仕事を続けたいという気持ちが強い方でした。

50代で社内SEを続ける場合、

管理する側へ進みたいのか、それとも現場に残りたいのか

は考えておいた方がいいと思います。


3.SES:約7年|要件定義からPG・テストまで幅広い

社内SEのあと、私はSES会社へ転職しました。

SESの仕事内容は案件によってかなり違います。

大きく見ると、

  • 要件定義
  • 基本設計
  • 詳細設計
  • PG
  • テスト
  • 運用保守

まで幅広い仕事があります。

ただし、

SESなら誰でも上流工程を担当できるわけではありません。

要件定義や基本設計などの上流工程を担当できる人は一部です。

私の場合は、それまでの社内SEやPLの経験もあり、

  • 要件定義
  • 基本設計
  • 運用保守
  • レビュー
  • メンバー管理

などを担当しました。

SES会社にいた約7年間は、同じ客先に常駐しています。

そこで複数の仕事を経験しました。


4.社内SEとSESでは立場が違う

社内SEとSESでは、システムに関わる立場が変わります。

社内SEでは、

自社に必要なシステムを考える側

です。

ユーザーから要望を聞き、

「何を作るのか」

「どこまで作るのか」

を考えます。

SESでは、

客先のプロジェクトの中で、求められた役割を果たす側

になります。

この違いは大きいと感じました。

SESでは、

「自分が何をしたいか」

だけではなく、

その案件で何を求められているか

が重要になります。


5.SESでもポジションが上がると、現場から離れることがある

SESでも、会社の中でポジションが上がれば役割が変わることがあります。

例えば、

  • メンバーの管理
  • メンバーの評価
  • 社内の会議
  • 営業の支援
  • 人員配置の調整
  • 顧客との調整

などが増えることがあります。

そうなると、

客先で設計や開発を続けたい人にとっては、希望する仕事から離れてしまう可能性があります。

これは社内SEにもSESにも共通する部分です。

会社員としてポジションを上げるのか。

それとも現場に残るのか。

会社によっては、両方を続けることが難しい場合があります。

50代で、

「まだ現場で仕事をしたい」

という人にとっては、ここも働き方を考えるポイントになります。


6.私が独立を考えた大きな理由は、60歳以降の給与制度だった

私が独立を考えた理由はいくつかあります。

その中でも大きかったのが、

60歳以降の給与制度

です。

当時のSES会社では、60歳を超えると給与が下がる仕組みになっていました。

しかし、客先で担当する仕事が大きく変わるわけではありません。

同じ現場で、

同じような仕事をして、

同じように責任を持つ。

それでも年齢によって給与が下がる。

私はこの点に違和感を持ちました。

私はできるだけ長く働きたいと考えています。

そして、会社側の管理業務へ移るよりも、現場で仕事を続けたいという気持ちがありました。

客先ではまだ仕事ができる。

仕事内容も大きく変わらない。

それなら、

年齢によって給与が下がる会社の制度に合わせるのではなく、自分で働く方法もあるのではないか

と考えたことが、独立を検討した大きな理由です。

ただし、独立は会社を辞めてから考えればよいものではありません。私が実際に行った準備については、50代ITエンジニアが独立前に準備すべき5つのステップでまとめています。


7.56歳で独立|案件に落ちて初めて市場価値を意識した

私は56歳で独立しました。

会社を辞める時点では、

「自分の能力が外で通用するのか」

という不安を強く持っていたわけではありません。

それまで働いていた客先では、将来的に再び仕事ができる見込みもありました。

考え方が変わったのは、会社を辞めた後です。

以前、私がPLを担当していたときに協力会社側の取りまとめをしていた方から、案件を紹介してもらいました。

自分の仕事ぶりを知っている方からの紹介だったこともあり、期待していました。

しかし、不採用でした。

その後も案件面談で不採用が続きました。

ここで初めて、

「今までの客先では評価されていたが、ほかの場所では自分の能力はそれほど通用しないのではないか」

という不安を感じました。

これは、

「独立して大丈夫なのか」

という不安とは少し違います。

自分の市場価値が、これまで考えていたほど高くないのではないか

という不安です。

長く同じ客先で働いていると、その客先での評価と、外の市場での評価が同じなのかは分かりません。

案件に落ちたことで、その違いを意識するようになりました。

50代が転職や案件面談でどこを見られるのかについては、50代SEが転職市場で本当に見られている3つのポイントでも整理しています。


8.PMO案件で半年働き、その後以前の客先へ戻った

その後、コンサル会社のPMO案件に採用されました。

契約は最初から半年間決まっていたわけではありません。

最初は1か月。

その後延長され、結果として半年間働きました。

最後は、ほかの仕事に空きができた人を入れるため、契約終了となりました。

ただ、

本当に私が必要不可欠な存在になっていれば、継続していた可能性もある

とは思っています。

そう考えると、その現場で継続して必要とされるほどの貢献はできなかった、とも言えます。

一方、この仕事はかなりきついものでした。

契約終了については、不安よりも、

「半年間やり切った」

という気持ちの方が強かったです。

その後、SES時代に常駐していた客先で再び仕事を始めました。

最初からそこだけを本命にしていたわけではありません。

PMOの仕事が自分に合い、継続できていれば、そのまま続ける選択肢もありました。

現在は、

  • 要件定義
  • 基本設計
  • 設計の取りまとめ
  • レビュー
  • 関係者との調整

などを担当しています。


9.社内SE・SES・独立を比べると

3つの働き方を経験しましたが、

どれが一番良いとは思っていません。

仕事内容も違います。

向いている人も違います。

働き方主な特徴向いていると思う人注意したいこと
社内SE自社業務を理解し、開発方針決定、要望整理、外注管理、運用などを担当。時代や会社によってはPGも行う自社業務を理解し、ユーザー側に近い立場でシステム全体を考えたい人ポジションが上がると、人事評価や予算管理などが増え、現場の仕事が減る場合がある
SES要件定義から設計、PG、テスト、運用まで案件によって幅広い開発現場で実務を続け、自分の経験を案件の中で活かしたい人上流工程を担当できるのは一部。ポジションが上がるとメンバー管理や営業支援などが増えることがある
独立会社の給与制度から離れ、自分で案件を選びながら働く自分で仕事を進められ、現場を続けたい人案件獲得、契約終了、収入変動などのリスクを自分で負う

50代だから独立が向いている。

そういう単純な話ではありません。

人を管理する仕事をしたい人もいます。

社内SEとして長く働く方が合う人もいます。

SESで現場を続けたい人もいます。

独立が合う人もいます。

それぞれです。


10.50代で働き方を選ぶときに考えたいこと

50代になると、仕事内容だけではなく、会社の制度も働き方に影響してきます。

私自身は、

  • できるだけ長く働きたい
  • 人を管理する仕事より現場で働きたい
  • 客先で仕事内容は変わらないのに、年齢だけで給与が下がることには納得できない

と考えました。

その結果、独立を選びました。

ただし、独立すれば会社員にはないリスクもあります。

案件が取れないこともあります。

契約が終了することもあります。

収入が安定しないこともあります。

だから、

独立すればすべて解決するわけではありません。

50代で働き方を考えるなら、

  • 現場で働き続けたいのか
  • 人を管理する側へ進みたいのか
  • 安定をどこまで重視するのか
  • 会社の給与・定年制度を受け入れられるのか
  • 案件や収入が変動するリスクを取れるのか

を一度整理してみるとよいと思います。

独立が自分に合うかをもう少し具体的に考えたい方は、50代ITエンジニアは独立すべきか|向いている人・向いていない人の判断基準も参考にしてください。


まとめ|どの働き方が合うかは人によって違う

私は、

社内SE

SES

独立

と働き方を変えてきました。

それぞれを経験して感じるのは、

働き方に絶対的な正解はない

ということです。

私は、現場で仕事を続けたいという考えと、60歳以降の給与制度が合わなかったため独立を選びました。

しかし、それが他の50代ITエンジニアにも正解だとは思っていません。

会社員として管理職を目指す。

社内SEとして働き続ける。

SESで現場を続ける。

独立する。

どの選択もありだと思います。

大切なのは、

自分がこの先、どんな仕事をしていたいのか。

そして、

その働き方を今の会社で続けられるのか。

を考えることです。

自分ならどの働き方を選ぶのか。

50代は、一度考えてみてもよい時期だと思います。


次回予告

50代ITエンジニアは仕事がなくなる?|現場30年とAI時代を見て出した結論

次回は、

  • AIでITエンジニアの仕事はどう変わるのか
  • 50代の経験はどこで活かせるのか
  • 今後も仕事を続けるために何を意識すべきか

について考えます。

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