はじめに
50代になると、これからの働き方を考える機会が増えます。
このまま会社員を続けるのか。
転職するのか。
それとも独立するのか。
私自身も、50代でこの問題を考えるようになりました。
ただ、最初から独立したいと思っていたわけではありません。
むしろ、できれば会社員として安定して働き続けたい気持ちもありました。
それでも独立を考えるようになったのは、いくつかの現実が重なったからです。
- 管理職が自分に合わなかったこと
- 60歳以降の給与カットが見えていたこと
- 会社の制度を変えられなかったこと
- SES会社に所属する意味を考えるようになったこと
- 独立後の仕事につながる人脈や評判があったこと
この記事では、私が50代で独立を考えるようになったきっかけを、実体験ベースで整理します。
独立をすすめる記事ではありません。
会社員を続ける選択も十分にあります。
ただ、50代ITエンジニアがこれからの働き方を考える時の、ひとつの判断材料になればと思います。
独立を考えた理由は、ひとつではなかった
私が独立を考えた理由は、ひとつではありません。
「会社が嫌になったから独立した」
という単純な話ではありません。
「自由に働きたい」
「会社に縛られたくない」
という前向きな理由だけでもありません。
実際には、いくつかの現実が積み重なっていきました。
会社員として上を目指す働き方が、自分には合わない。
60歳以降の条件も変えられない。
一方で、現場では自分で仕事を進められている。
仕事を紹介してくれる人もいる。
常駐先での評判も悪くない。
こうしたことが重なり、独立が現実的な選択肢になりました。
管理職を経験して、自分の向き不向きが見えた
最初のきっかけは、SES会社で管理職を経験したことです。
管理職を経験してみて、正直に言うと、仕事がまったく楽しくありませんでした。
もちろん、管理職の仕事が悪いという意味ではありません。
人を管理する仕事が得意な人もいます。
組織を動かすことにやりがいを感じる人もいます。
会社側の立場で判断することに向いている人もいます。
ただ、私には合いませんでした。
上司との相性も良くありませんでした。
このまま続けると、心が持たないかもしれない。
そう感じるようになりました。
その後、管理職から現場に戻してもらいました。
この経験でわかったのは、
「自分はSES会社の中で、管理職として上を目指す働き方には向いていない」
ということです。
50代になると、会社の中では管理職やマネジメントを求められる場面が増えます。
しかし、すべてのITエンジニアが管理職に向いているわけではありません。
私の場合は、現場でシステムに関わる仕事の方が合っていました。
現場に戻っても、60歳以降の不安は残った
管理職から現場に戻ったことで、気持ちはかなり楽になりました。
やはり私には、現場の仕事の方が合っていました。
- 要件を整理する
- 設計を考える
- 関係者と認識を合わせる
- 開発や運用を前に進める
こうした仕事の方が、自分の経験を活かしやすいと感じました。
ただ、現場に戻っても、60歳以降の働き方への不安は残りました。
当時の会社では、制度上、定年は60歳でした。
再雇用は65歳までです。
そして、60歳を過ぎると給与は3割カットされることになっていました。
同じように働いても、年齢によって給与が下がる。
会社の制度なので、仕方ない面はあります。
会社員である以上、個人だけ特別扱いできないことも理解できます。
ただ、50代後半になると、この制度はかなり現実的な問題になります。
このまま会社員を続けた場合、60歳以降は給与が下がる。
しかも再雇用は65歳まで。
その先の働き方は、はっきり見えませんでした。
会社の制度は、個人の希望だけでは変えられなかった
私は、すぐに独立を決めたわけではありません。
まずは、会社の中で解決できないかを考えました。
社長にも相談しました。
定年なしにできないか。
60歳以降の給与カットをなくせないか。
そういった話をしました。
しかし、答えは「できない」というものでした。
この時点で、
「この会社で会社員として働き続ける場合、60歳以降の条件は大きく変えられない」
ということがわかりました。
これは大きな判断材料になりました。
会社に相談せずに辞めたわけではありません。
会社の中で解決できる可能性を確認したうえで、難しいと判断しました。
50代で独立を考える場合、ここは大事だと思います。
不満だけで辞めるのではなく、まず今の会社で解決できないかを確認する。
そのうえで、次の選択肢を考える。
この順番は必要だと思います。
年齢に縛られず働き続けたいと思った
私には、できるだけ長く働き続けたいという気持ちがありました。
私は、あまり趣味が多いタイプではありません。
仕事が人生の中で比較的大きな割合を占めていました。
振り返ってみると、仕事をしている時間が一番楽しいと感じることも多かったです。
だからこそ、60歳や65歳という制度上の区切りだけで、働き方を決められることに違和感がありました。
可能であれば、年齢に縛られず働きたい。
働ける間は、自分の経験を活かして仕事を続けたい。
この思いも、独立を考える理由になりました。
もちろん、独立すれば必ず長く働けるわけではありません。
案件がなければ収入はありません。
体力や健康の問題もあります。
年齢による市場評価もあります。
それでも、会社の定年制度に左右されにくい働き方として、独立は選択肢のひとつになりました。
SES会社に所属する意味を考えるようになった
もうひとつ大きかったのは、SES会社のサポートをほとんど受けていなかったことです。
客先の上位者とも直接会話できていました。
仕事の進め方も、自分で調整できていました。
実務を進めるうえで、SES会社のサポートが必要だと感じる場面は、あまりありませんでした。
もちろん、SES会社に所属するメリットはあります。
- 会社が営業してくれる
- 契約をしてくれる
- 雇用が守られる
- 社会保険がある
- 事務処理を会社が行ってくれる
- 会社の信用を使える
これらは大きなメリットです。
そのため、売上の一定割合が会社側に入ること自体は当然です。
ただ、私の場合は、実務面ではかなり自分で進めていました。
客先との会話も自分で行う。
仕事の調整も自分で行う。
成果物も自分で責任を持つ。
そう考えると、
「ここまで自分で進められるなら、独立してもよいのではないか」
と思うようになりました。
これは、独立を考えるうえで大きな判断材料でした。
SESを続けるかどうかで迷う場合は、50代ITエンジニアがSESを続けるか判断するポイント|独立を考えるタイミングでも整理しています。
一時的につらい時期に相談したことで話が進んだ
常駐先で、かなり当たりのきついプロジェクトマネージャーの方と仕事をする時期がありました。
正直、その時期はかなりつらかったです。
ただし、その状態がずっと続いたわけではありません。
一時的にきつい時期を超えると、仕事はかなり楽になりました。
実際、現在もその常駐先で同じ案件を担当しています。
つまり、案件そのものが嫌で独立を決めたわけではありません。
常駐先が嫌になって辞めた、という話でもありません。
ただ、そのつらい時期に、今後の働き方について人に相談しました。
その相談をきっかけに、仕事を紹介できるという話が出てきました。
結果として、独立の話が具体的に進んでいきました。
今振り返ると、独立は最初から計画通りに進めたというより、一時的につらい時期に相談したことがきっかけになり、そこから現実的な選択肢として動き出した面があります。
独立には、タイミングもあります。
不満だけで動くのは危険です。
しかし、悩んだ時に相談したことで、新しい選択肢が見えてくることもあります。
私の場合は、そのタイミングで独立の話が進みました。
人脈と評判が、独立を現実的な選択肢にした
相談した相手は、社内IT時代に外注先として関わっていた方でした。
その方は、その後転職して、SES会社の取締役になっていました。
相談したところ、
「仕事はいつでも紹介できる」
と言ってもらえました。
これは大きかったです。
独立で一番不安なのは、案件があるかどうかです。
経験があっても、仕事がなければ収入はありません。
50代で独立する場合、最初の案件があるかどうかはとても重要です。
その意味で、過去の仕事でつながっていた人から仕事を紹介できると言ってもらえたことは、独立を考える大きな後押しになりました。
また、常駐先での評判も支えになりました。
常駐先での評価は悪くありませんでした。
そのため、独立後も、一定期間を置けば再契約できる可能性があるという話もありました。
また、人事権のある課長職の方とのつながりもキープしていました。
独立は、勢いだけで決めると危険です。
私の場合も、完全に安全だったわけではありません。
ただ、少なくとも次の材料はありました。
- 仕事を紹介してくれる人がいた
- 常駐先での評判が悪くなかった
- 再契約の可能性があった
- 人事権のある方とのつながりを維持していた
- 客先の上位者とも会話できていた
- 自分が評価される仕事の領域が見えていた
これらがあったから、独立が現実的な選択肢になりました。
会社員を続ける選択も間違いではない
ここで誤解してほしくないのは、会社員が悪いということではありません。
会社員には大きなメリットがあります。
- 毎月の給与が安定している
- 社会保険がある
- 有給休暇がある
- 営業をしなくても仕事がある
- 会社の信用を使える
- 事務処理を会社が行ってくれる
これはとても大きいです。
私も、条件が合えば会社員を続ける選択はあったと思います。
管理職が合う。
60歳以降も納得できる条件で働ける。
会社の中で自分の役割が明確にある。
そういう状況であれば、会社員を続ける選択は十分にあります。
独立は、誰にでもすすめられるものではありません。
収入が不安定になる可能性があります。
案件が切れるリスクもあります。
営業や契約の問題もあります。
そのため、会社員を続けるか、独立するかは、自分の状況で判断する必要があります。
働き方の比較は、50代ITエンジニアは転職か独立か?後悔しない選び方でも整理しています。
50代で独立を考える前に確認したいこと
50代で独立を考えるなら、勢いだけで動かない方がよいです。
私の経験から、最低限確認した方がよいと思うのは次の4つです。
今の会社で解決できないか
まずは、今の会社で解決できないかを確認した方がよいです。
私も社長に相談しました。
定年や給与カットの条件を変えられないか確認しました。
結果として変えられませんでしたが、確認したことで判断しやすくなりました。
会社に相談しないまま辞めると、後で迷いが残る可能性があります。
自分で仕事を進められているか
独立すると、会社が細かく支えてくれるわけではありません。
客先と会話する。
課題を整理する。
仕事を前に進める。
必要な調整をする。
こうしたことを自分でできるかは重要です。
私の場合、SES会社のサポートをほとんど受けずに仕事を進めていたことが、独立を考える材料になりました。
仕事を紹介してくれる人がいるか
独立で一番大事なのは、最初の案件です。
経験があっても、案件がなければ収入はありません。
過去の仕事でつながった人。
元同僚。
外注先。
常駐先。
こうした人脈があるかどうかは、50代独立では大きなポイントになります。
自分の評判が残っているか
50代の独立では、スキルだけでなく評判も大事です。
「あの人なら任せられる」
「また一緒に仕事をしてもよい」
そう思ってもらえるかどうかです。
私の場合、常駐先での評判が悪くなかったことが支えになりました。
独立は、履歴書だけで決まるものではありません。
過去の仕事ぶりが次の仕事につながることがあります。
まとめ
私が独立を考えたきっかけは、最初から自由を求めたからではありません。
- 管理職が合わなかった
- 60歳以降の給与カットがあった
- 会社に相談しても制度は変えられなかった
- 年齢に縛られず働き続けたい気持ちがあった
- SES会社のサポートをほとんど受けずに仕事を進めていた
- 一時的につらい時期に相談したことで、独立の話が具体的に進んだ
- 人脈と評判があった
こうした条件が重なったことで、独立が現実的な選択肢になりました。
独立は、勢いだけでは危険です。
ただ、会社員としての選択肢を確認し、人脈や評判を整理したうえでなら、50代でも現実的な選択肢になる場合があります。
会社員を続けるのか。
転職するのか。
独立するのか。
大切なのは、自分の状況を整理して、納得できる選択をすることです。
私の場合、その結果が独立でした。
読者の方も、自分ならどの働き方を選ぶのか、一度考えてみてください。
関連記事
- 50代ITエンジニアは転職か独立か?後悔しない選び方
- 50代ITエンジニアがSESを続けるか判断するポイント|独立を考えるタイミング
- 50代ITエンジニアの転職サービス体験談|社内ITで通らずSESに採用された話
🧭 次回予告
次回は、
50代ITエンジニアが独立前に確認したこと|勢いで辞めないための準備
について書く予定です。
独立を勢いだけで決めないために、案件、人脈、家族、生活費など、事前に確認しておきたいことを整理します。

コメント