はじめに
50代ITエンジニアが転職を考えたとき、最初に準備するのが履歴書と職務経歴書です。
私自身、40代後半に転職活動をした経験があります。
当時は社内ITへの転職を希望していました。
長く社内IT・社内SEとして働いてきたため、自分では経験を活かせると思っていました。
しかし、実際には書類選考で不採用になることが何度もありました。
一方、その後に応募したSES会社には採用され、49歳で転職しました。
なぜ社内ITで不採用になり、SES会社では採用されたのか。
正確な理由は分かりません。
ただ、この経験から感じたことがあります。
自分に経験があることと、その経験が応募先に伝わることは別です。
履歴書や職務経歴書では、これまでの経歴を全部書けばよいわけではありません。
大切なのは、「自分の経験の中で、今回の仕事に使えるものは何か」を相手に分かりやすく伝えることだと思います。
この記事では、50代ITエンジニアが履歴書・職務経歴書を作るときに、まず押さえておきたい基本的な考え方を整理します。
50代の転職では、募集内容との接点を意識する
求人には、企業が求める経験や役割が書かれています。
例えば、
- 基本設計の経験
- 運用保守の経験
- プロジェクトリーダー経験
- ベンダーとの調整経験
- 特定の業務知識
- 特定の技術経験
などです。
自分に30年以上のIT経験があったとしても、そのすべてが今回の求人に関係するとは限りません。
重要なのは、募集内容と、自分の経験のどこがつながっているかを分かりやすくすることです。
例えば基本設計を求めている求人なら、基本設計を担当した案件を分かりやすくします。
運用保守を求めている求人なら、日々の運用、障害対応、システム修正などの経験を伝えます。
管理や調整が必要な仕事なら、設計責任者やリーダー、関係者との調整経験などが使えるかもしれません。
すべての経験を同じように見せるのではなく、応募する仕事に近い経験を見つける。
まずはここから始めます。
履歴書は正確さと分かりやすさを優先する
履歴書には、
- 氏名
- 年齢
- 学歴
- 職歴
- 資格
などの基本情報を書きます。
50代だからといって、履歴書そのものを特別な形式にする必要はないと思っています。
大切なのは、経歴を正確に書くことです。
勤務先や在籍期間などに間違いがないようにします。
また、自己PRや志望動機を書く場合も、長く書けばよいわけではありません。
詳細な経験については職務経歴書で説明できます。
履歴書は、「これまでどのような経歴を歩んできた人なのか」が分かりやすければよいと思います。
職務経歴書では「何をしてきたか」を整理する
ITエンジニアの場合、職務経歴書では仕事内容を詳しく説明できます。
例えば、
基本設計を担当
だけでは、どこまで担当したのか分かりません。
同じ基本設計でも、
- 担当機能だけを設計した
- 利用部門への説明も行った
- 設計内容のレビューをした
- メンバーの設計を取りまとめた
- 設計責任者を担当した
など、役割は違います。
運用保守でも同じです。
単に「システム運用保守を担当」と書くより、
- 日々の運用作業
- 定期メンテナンス
- 軽微なシステム修正
- 問題発生時の対応
- 納入先担当者とのやり取り
など、実際に何をしていたのかを整理すると、自分の経験が見えやすくなります。
職務経歴書で整理したい3つのこと
1.何を担当したのか
まずは、自分が担当した仕事を書きます。
例えば、
- 要件定義
- 基本設計
- 詳細設計
- 開発
- テスト
- 運用保守
- ベンダー調整
- 顧客対応
などです。
ただし、工程名だけで終わらないようにします。
その工程の中で、自分が実際に何を担当したのかを整理します。
2.どのような役割だったのか
同じ仕事でも、立場によって経験の意味は変わります。
例えば、
- 担当者
- リーダー
- 設計責任者
- レビュー担当
- 発注側
- ベンダー側
などです。
50代になると、長い職歴の中でいろいろな役割を経験している人も多いと思います。
そのため、作業内容だけではなく、自分の役割も書くことが大切です。
3.応募する仕事とどこがつながるのか
最後に確認したいのが募集内容との接点です。
例えば求人に「基本設計経験」と書かれているなら、自分の基本設計経験を分かりやすくします。
「関係者との調整経験」を求めているなら、
- 利用部門との調整
- ベンダーとの調整
- 設計内容の説明
- チーム内の取りまとめ
など、自分が経験した内容を確認します。
自分の経験を無理に求人へ合わせる必要はありません。
経験していないことを書くのは当然避けるべきです。
そのうえで、実際に経験していることの中から、今回の求人に関係するものを見つけるという考え方です。
具体的な職務経歴書の書き換え方については、50代ITエンジニアの職務経歴書の書き方|スキルマッチを伝える具体例で詳しく紹介しています。
50代は「全部書く」より「整理する」
50代になると、どうしても職歴が長くなります。
私自身も会社員として長く働き、
- システム開発
- プログラミング
- 運用保守
- 基本設計
- ベンダーとの調整
- 社内IT
- SES
など、さまざまな仕事を経験してきました。
そのすべてを同じ詳しさで書こうとすると、職務経歴書は長くなります。
しかし、応募する仕事によって重要な経験は違います。
そのため、今回の求人に関係する経験は詳しく、関係の薄い経験は簡潔にする。
という整理が必要だと思います。
これは経験を隠すという意味ではありません。
読み手が、「この人は何ができる人なのか」を理解しやすくするための整理です。
数字は使えるときだけ使う
職務経歴書では、「数字を入れた方がよい」と言われることがあります。
数字で説明できる実績であれば、確かに分かりやすくなります。
例えば、
- プロジェクトの規模
- システムの画面数
- 担当人数
- 運用していた拠点数
- 処理件数
- 改善前後の時間
などです。
ただし、ITの仕事では数字で表しにくい経験も多くあります。
例えば、
- 要件を整理した
- 設計内容を取りまとめた
- 利用部門へ説明した
- 障害発生時に原因を切り分けた
- ベンダー間の調整を行った
といった仕事です。
数字がないから価値がないわけではありません。
数字で説明できるものは数字を使い、難しいものは役割や対応内容を具体的に書く。
私はそのくらいでよいと思っています。
自己PRは抽象的な言葉だけにしない
自己PRでは、
- コミュニケーション能力があります
- 責任感があります
- 調整力があります
と書きたくなることがあります。
しかし、それだけでは実際の仕事ぶりが分かりません。
例えば調整力なら、
社内ITとして利用部門の要望を整理し、ベンダーと調整しながらシステム改修を進めた
と書いた方が経験が見えます。
コミュニケーション能力という言葉を使わなくても、実際に何をしたのかを書くことで伝わることがあります。
抽象的な能力を書くより、実際の経験を具体的にする方が私は使いやすいと思っています。
私自身も、経験があれば通ると思っていた
40代後半で転職活動をした頃、私は社内ITを希望していました。
それまで長く社内ITとして働いていたため、自分の経験を活かしやすいと思っていたからです。
しかし、実際には社内ITの書類選考で不採用になることが何度もありました。
その後、リクナビNEXTで見つけたSES会社に1社だけ応募し、その会社には採用されました。
ただし、社内ITで不採用になった理由も、SES会社で採用された理由も分かりません。
そのため、「こう書けば採用される」とは言えません。
私がこの経験から感じたのは、自分が評価している経験と、応募先が求めている経験は同じとは限らないということです。
実際に利用した転職サービスと、そのときの結果については、50代ITエンジニアの転職サービス体験談|社内ITで通らずSESに採用された話で詳しく紹介しています。
書類を提出する前に、もう一度確認する
履歴書と職務経歴書を書いたら、応募する前に一度読み直します。
そのとき、「自分が書きたいこと」ではなく、「初めて読む人に何が伝わるか」という視点で見ることが大切です。
例えば、
- 自分の強みが分かるか
- 募集内容に近い経験が見つけやすいか
- 技術名を並べるだけになっていないか
- 担当した役割が分かるか
- 関係のない経験を書きすぎていないか
などを確認します。
応募前の具体的な確認項目については、50代ITエンジニアが書類選考で落ちる原因と改善チェックリストにまとめています。
まとめ
50代ITエンジニアの履歴書・職務経歴書では、長い経験をすべて詳しく書く必要はありません。
私が大切だと考えているのは、
- 経歴を正確に書く
- 自分が担当した仕事を具体的にする
- 自分の役割を分かりやすくする
- 応募先に関係する経験を見つける
- 関係の薄い経験は整理する
ことです。
特に職務経歴書では、「私はこれだけ経験があります」だけではなく、「この求人に対して、私はこの経験を持っています」と伝わるように整理した方がよいと思います。
もちろん、職務経歴書を直したからといって、必ず書類選考を通過できるわけではありません。
私自身も何度も不採用になりました。
それでも、自分の経験を整理し、応募先との接点を分かりやすくすることはできます。
転職するかどうかを含めて、自分ならどの経験を強みとして伝えるのか。
一度整理してみてはいかがでしょうか。
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