はじめに:社内SEの仕事は「コミュニケーション力」がすべて
社内SEとして25年間働いてきた中で、私が強く感じたのは、
「プロジェクト運営において、最も重要なのはコミュニケーション力」 だということです。
要件定義・設計・運用などの工程を担当していても、1人で完結できる仕事はほとんどありません。
社内外の多くの人と関わり、正しく“人の思い”を汲み取り、的確に伝えていく――
それができるかどうかで、プロジェクトの成否は大きく変わります。
今回は、長年の社内SE経験を通じて実感した
「プロジェクトを円滑に進めるための3つのコミュニケーションのコツ」 を紹介します。
💡 コツ①:プロジェクトで何を実現するのかを理解すること
プロジェクトが始まる際に最初にやるべきことは、
「このプロジェクトは何のために行うのか」 を明確に理解することです。
プロジェクト憲章(Project Charter)がある場合は、必ず以下の項目を確認します。
- 目的
- 目標
- 前提・制約
- スケジュール(予定)
- 予算
- リスク
- 体制
これらを正確に把握することで、関係者との認識のズレを防ぎ、
判断に迷ったときもブレずに進めることができます。
もしプロジェクト憲章が存在しない場合は、プロジェクト責任者に直接確認し、
目的や成果のゴールイメージを自分の言葉で整理しておくことが大切です。
目的を理解して進めることで、チームからの信頼を得られ、
コミュニケーションもスムーズになります。
💼 コツ②:ユーザの要望を正しく理解すること
社内SEは、ユーザ(業務部門)とベンダー(開発側)の橋渡し役です。
その立場で最も重要なのは、ユーザの要望を正確に理解し、本質を掴むこと です。
ユーザの要望は「業務を効率化したい」「自動化したい」といった表面的な言葉で語られることが多いですが、
本当に求めているのは「確認を簡単にしたい」「手戻りを減らしたい」など、もっと具体的で実務的な改善です。
そこで私が実践しているのは次の3つです。
- 要望内容を自分の言葉で整理して資料化する
- メリット・デメリットを明示し、責任者とキーユーザの双方に説明して合意を取る
- 合意した内容をベースに、仕様を明確化してベンダーに伝える
このプロセスを踏むことで、「思っていたものと違う」「聞いていない」といったトラブルを防ぐことができます。
特にプロジェクトの遅れの多くは、仕様のあいまいさ が原因。
だからこそ、ユーザとの合意形成がプロジェクト成功の鍵になります。
🧭 コツ③:ユーザの要望を正しくベンダーに伝え、進捗・成果物を確認すること
ユーザ要望を理解したら、それを正しくベンダーに伝え、進捗や成果物を確認することが重要です。
ベンダーに任せきりにしてしまうと、仕様の誤解やスケジュール遅延が発生するリスクがあります。
「任せているから大丈夫」と思うのは、プロジェクト失敗の典型的なパターンです。
私が意識しているのは次の3点です。
- 定期的なミーティングで仕様認識のズレを早期に修正する
- 成果物はレビューを行い、ドキュメントや画面の整合性を確認する
- 進捗報告では“報告”だけでなく“次にやるべきこと”まで確認する
成果物のテストは、業務シナリオレベルまで実施しない場合もあります。
ただし、レビューの段階で業務担当者が確認できる粒度で整合性を取ることで、
大きな手戻りを防ぐことができます。
また、ベンダーを「管理する相手」ではなく「共にゴールを目指すパートナー」と捉えることも大切です。
この意識を持つだけで、関係性も良くなり、課題共有やトラブル対応もスムーズになります。
✨ まとめ:社内SEは「人と目的をつなぐコミュニケーター」
プロジェクトを成功させるために必要なのは、技術よりも人とのコミュニケーション力です。
プロジェクトの目的を理解し、ユーザの要望を整理し、ベンダーと正しく連携する。
この3つの積み重ねが、結果としてスムーズなプロジェクト運営を生み出します。
社内SEは、技術者である前に「人と目的をつなぐコミュニケーター」
これが、私が25年の経験からたどり着いた結論です。
🧭 次回予告
次回は、「50代からの副業:ITスキルを活かした初めの一歩」。
本業で培ったスキルを副業にどう活かすか、その第一歩を解説します。


コメント